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ノーベル化学賞の変遷 のーべるかがくしょうのへんせん

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知恵蔵2015の解説

ノーベル化学賞の変遷

2007年度のノーベル化学賞触媒化学を専門とする、ドイツのマックス・プランク研究協会フリッツ・ハーバー研究所のゲルハルト・エルトゥル名誉教授が受賞した。これで日本人のノーベル賞受賞は5年連続でなしだったことになる。 「固体表面の化学反応過程に関する研究」というのが受賞理由である。触媒などの表面でナノメートルサイズ以下の極微の分子が起こす化学反応を分子よりさらに小さい電子を使って調べる表面解析技術を考案した業績が評価された。この表面科学を研究する技術は、現在、産業界のいろいろな分野に応用されており、その貢献も授賞の際に考慮されたと思われる。 振り返ってみると、05年度のノーベル化学賞は有機合成化学を専門とする、フランス石油研究所のイブ・ショーバン名誉研究部長、米マサチューセッツ工科大学のリチャード・シュロック教授と米カリフォルニア工科大学のロバート・グラッブス教授の3人が共同受賞した。受賞対象の業績は「有機合成におけるメタセシス反応の開発」。ショーバン氏は炭素-炭素の二重結合の相手が、触媒の働きによって組み替わる、メタセシス反応を発見した。シュロック氏とグラッブス氏は、このメタセシス反応を可能にする金属錯体を使った触媒を作った。 従来、炭素の二重結合を切ってつなぎ直して新しい化合物を作るには何段階もの反応操作を要したが、メタセシス反応を利用することで、それが大幅に簡略化された。メタセシス反応を起こす触媒は巧妙に設計されており、普通なら触媒が働きにくい複雑な構造をもつ分子でも、狙った所に選択特異的に反応するという特性をもつ。反応操作の簡略化は有機合成反応に必要な原料や廃棄物の削減につながる。これにより、環境への負荷も軽減するので、「経済効率と環境を両立させる21世紀型化学を先導する業績」として高く評価された。 ノーベル化学賞は、02〜04年の3年間と06年、生物系分野の受賞が続いていたが、05年度に日本の野依良治氏らの不斉合成による受賞(01年)以来4年ぶりに有機合成分野からの受賞があり、07年度には触媒化学を表面科学として扱った研究業績に対して贈られた。

(市村禎二郎 東京工業大学教授 / 2008年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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