ごく‐び【極微】
〘名〙
① (形動) きわめて小さいこと。また、そのさま。きょくび。
※改正増補和訳英辞書(1869)「Atom Atomy 極微(ゴクビ)ノ分子。細微ニシテ分カツ事ノ出来ヌ物」
② (形動)
地位などがきわめて低いこと。また、そのさま。
※
西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉
一二「極貧極微の地位に居るとも」
※地図的
観念と絵画的観念(1894)〈
正岡子規〉上「余、翁と
俳句を論ずる常に極微に入り些細に渉る」
ごく‐み【極微】
〘名〙 (paramāṇ
nu の
訳語。「み」は「微」の
呉音)
仏語。
物質を分割した
最後の
原子のごときものをいう。また、一極微を
中心に上下四方から
六つの極微が結合して一
微塵(みじん)が構成されているとする。
※
安心決定鈔(14C前)本「
ひとの身をば地水火風の四大よりあひて成ず、
小乗には極微
(ゴクミ)の所成といへり」 〔
倶舎論‐一二〕
きょく‐び【極微】
〘名〙 きわめて小さいこと。きわめて細かいこと。ごくび。
[
補注]「ごくび」か「きょくび」か読みのはっきりしない
用例は「ごくび」の項に掲げた。
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デジタル大辞泉
「極微」の意味・読み・例文・類語
きょく‐び【極微】
[名・形動]きわめて小さいこと。また、そのさま。ごくび。「極微の世界」「極微な生物」
ごく‐び【極微】
[名・形動]
1 非常に小さいこと。また、そのさま。きょくび。
2 その道のきわめて微妙な点。また、その道の奥義。
ごく‐み【極▽微】
《〈梵〉paramāṇuの訳》仏語。物質を最も微細なところまで分割した最小の実体。
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極微
ごくみ
paramāṇu
仏教用語。物質 (色法) を極限まで分割したもので,原子のようなもの。一指節を 710 または 711 で除した大きさに相当。堅湿なん動の4性質のいずれかを有する。この4つはそれぞれ地,水,火,風の独自の性質である。『倶舎論』では,有形の色法がみなこの極微から構成されているとしている。1極微を中心として,上下四方の六方に極微が集合したものを微塵という。
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普及版 字通
「極微」の読み・字形・画数・意味
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世界大百科事典内の極微の言及
【原子論】より
…なお,仏教徒はその小乗有部(うぶ)の哲学で色法(もろもろの存在)形成の基底に,ベーダーンタ学派はその哲学の中心たる個人我(アートマン)存在の様態の説明にやはり原子論をとっている。極微(ごくみ)は漢訳仏典が原子anu(paramāṇu)に与えた訳語である。原子【蒔田 徹】。…
※「極微」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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