日本大百科全書(ニッポニカ) 「ノールト・ホラント」の意味・わかりやすい解説
ノールト・ホラント
のーるとほらんと
Noord-Holland
オランダ西部の州。「北ホラント」の意。北海とアイセル湖の間の西フリースラントとよばれる半島部とテセルTexel島によって構成される。総面積4059平方キロメートル、陸地面積2667平方キロメートル、人口253万4599(2001)。州都ハールレム。大部分が海面下にあり、地形的には北海側から内陸側へ海岸砂丘、砂質沖積地、泥炭・粘土の低湿地と三区分される。このため砂質地では球根栽培が、17世紀に開発された湖沼ポルダー(干拓地)では畑作が、泥炭地では酪農が行われるなど、多彩な農牧業が営まれる。また、アルクマールのチーズ市(いち)は有名である。工業はアムステルダム‐アイモイデン地区を中心に、鉄鋼、造船、食品などが発展している。10世紀に成立したホラント伯領を起源とし、オランダ独立戦争や17世紀の経済的繁栄などにおいて絶えずオランダ史の焦点となった地域で、初期にはエンクハイゼンEnkhuizenやホールンのゾイデル海港湾都市が、16世紀からはアムステルダムが、ニシン漁業や貿易で繁栄した。1840年に旧ホラント州が南北に分離されて誕生した。北海運河やノールト・ホラント運河が開けている。北海沿岸には海水浴場も多い。
[長谷川孝治]