オランダの運河。アムステルダムと北海に臨むアイマイデンIJmuidenを結ぶ。全長18.8km。水深15.5m,幅170mで,8万トンの船舶の航行が可能。アムステルダムからゾイデル海(現,アイセル湖)を通って外海へ出ることは,浅瀬や強風のために難しく,1824年に北海岸のヘルデルHelderとの間を結ぶ北ホラント運河Noordhollands Kanaal(全長79km)が開通してからは,もっぱらこれに頼っていた。しかし船の大型化には対応できず,最短距離で北海とを結ぶこの運河が1865年に着手され83年完成し,運河入口に外港アイマイデンが建設された。同運河の両岸は交通の便に恵まれているため,オランダ国営製鉄所(アイマイデン)などが設置され,オランダの有力な臨海工業地帯の一つとして造成が進められている。
執筆者:石坂 昭雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
オランダ中西部の海洋運河。北海に臨むアイモイデンとアムステルダムを結ぶ。別称アムステルダム運河。1876年にアムステルダム港と北海を短絡する水路として開通した。もともとアムステルダムに出入りする航洋船はゾイデル海(現アイセル湖)を経由していたが、船の大型化が進むとともにこの航路の使用がむずかしくなり、1824年にアムステルダム―アルクマール―デン・ヘルデル間79.4キロメートルにノールト・ホラント運河が全通し、約半世紀にわたって、最終的には2000トンまでの航洋船が、この運河を利用して北海に出ることができた。しかし、19世紀後半の汽船時代を迎えてさらに大型の航洋船が通航できる運河が要求され、1876年に新たに北海運河が開通した。全長24.7キロメートル(さらにアイセル湖に至る水路12.1キロメートルがつながる)、深さ15メートル(アムステルダム―アイセル湖間は深さ10メートル)。アイモイデンには4列の閘門(こうもん)(うち航洋船用2列)があり、北海の低水位より40~50センチメートル高く水面を保っている。
[青木栄一]
…面積207.5km2。同国西部,北ホラント州の南部に位置し,ゾイデル海(現,アイセル湖)の入江エイ(アイ)湾(het IJ)および北海運河の両岸に発達した都市で,商工業,交通,文化の中心地。地名は,13世紀エイ湾に流入するアムステル川の河口にダム(現在のダム広場)が築かれたことに由来する。…
…かかる多数のはしけ用運河のほか,19世紀後半には重要な航洋船用運河が相次いで開かれた。オランダの新水路(1872),北海運河(1876),マンチェスター運河(1894)はそれぞれ外洋からロッテルダム,アムステルダム,マンチェスターまで海上航路を引き入れたものであり,キール運河(1894)は北海とバルト海を結ぶ海上航路を大幅に短縮した。第2次大戦後にはローヌ川が根本的に改変され,運河化された水路と多数の新運河によって大型はしけの航行がはじまった。…
※「北海運河」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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