日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハーフィンダール指数」の意味・わかりやすい解説
ハーフィンダール指数
はーふぃんだーるしすう
Herfindahl index number
市場集中度を示す指標の一つ。ハーフィンダール・ハーシュマン指数ともいう。従来の集中度は、たとえば上位3社ないし5社の占有率の累積集中度で示されていたが、これは業種間比較のときに、くぎりの違いで集中度の評価が逆転することがあり、かといってくぎりを一定にすれば、ある業種の集中の特性が出てこなくなるという欠点があった。この点を改良したのがハーフィンダール指数であり、業種の各企業の占有率を2乗して累積するものである。たとえば、1983年(昭和58)の日本の粗鋼と食料油の生産量の上位3社累積集中度はともに50.1%であるが、ハーフィンダール指数は0.102と0.087で、粗鋼の集中度のほうが高い。また上位5社の累積集中度では67.1%と68.4%で、食料油のほうが高いが、同指数では0.117と0.104で、やはり粗鋼のほうが高い。このように、3社、5社というくぎりを超えて集中度の判定(粗鋼のほうが高い)ができるのが、ハーフィンダール指数の利点である。
[一杉哲也]