バイオスフィア2(読み)バイオスフィアツー(英語表記)Biosphere 2

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バイオスフィア2」の意味・わかりやすい解説

バイオスフィア2
バイオスフィアツー
Biosphere 2

アメリカ合衆国アリゾナ州オラクルにある,地球環境を模した閉鎖空間の生命実験施設。バイオスフィアは生命圏の意,地球そのものを「1」と考え,この施設は「2」とされた。1980年代前半に計画が構想され,1989年に施設が完成した。巨大な温室のようなガラス建造物の内部に,外界と隔離して熱帯雨林サバナサンゴ礁のある小海洋,砂漠マングローブ湿地という五つの生態系と,農地,人間の居住地がつくられた。1991年9月~1993年9月の 2年間,男女 8人の研究者が自給自足の生活をし,閉鎖空間での物質循環,農業の可能性,人間の行動などについて調査した。これらの実験結果は,将来の有人宇宙開発や環境問題の取り組みへの活用が期待された。1994年3月に第2期の実験が始まったが,管理・財務的な問題から同 1994年9月に中止された。その後はコロンビア大学などが所有し,2011年からはアリゾナ大学が地球環境について研究するための実験施設として運営している。一般の観光客も施設を見学できる。

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