日本大百科全書(ニッポニカ) 「バイユー・タペストリー」の意味・わかりやすい解説
バイユー・タペストリー
ばいゆーたぺすとりー
Bayeux Tapestry
ノルマンディー公ウィリアムのイギリス征服(ノルマン・コンクェスト)を絵場面で物語る長さ約70メートル、幅約50センチメートルの綴織(つづれおり)。1730年にフランスのバイユー大聖堂で発見された。ウェセックス伯ハロルド(後の2世)がエドワード懺悔(ざんげ)王のイギリス王位継承の約束をノルマンディー公ウィリアム(後の1世)に伝えに行く場面から、ヘースティングズでハロルド2世軍が敗れるまでの約70の場面があるが、本来はもっと続いていたらしい。ラテン語の解説も綴(つづ)られている。ウィリアム1世の妃マティルダ(マティルド)の作とも伝えられるが、彼の義兄弟バイユー司教オドの命でイギリスでつくられたともいわれている。芸術品としても、また征服の模様および当時の生活を示す史料としても価値が高い。
[富沢霊岸]