ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウィリアム1世」の意味・わかりやすい解説
ウィリアム1世
ウィリアムいっせい
William I
[没]1087.9.9. ルーアン
イギリス,ノルマン朝初代のイングランド王 (在位 1066~87) 。「征服王」 the Conquerorと称される。ノルマンディー公ロベール1世の庶子。父の跡を継いで公となる (35) 。嫡出でない公に対して不満をもつ貴族の反乱を鎮圧して (47) ,公領の秩序を回復。 1066年イングランド王エドワード (懺悔王) が嫡子なく没し,義弟ハロルドが即位すると,ウィリアムはエドワードのいとこの子であること,またかつてエドワードより王位を約束されていたことなどを理由に,ノルマンディー,フランドル,ブルターニュ各地より集めた数千の騎士を率いてイギリスに侵入 (→ノルマン・コンクェスト ) ,ヘースティングズの戦いでハロルドを破って即位した。イングランド全土を没収して部下のノルマン騎士に分与し,新たに封建制度を導入して統治した。アングロ・サクソン人の慣習を尊重し,中央,地方行政を整備。カンタベリー大司教ランフランクとはかってローマ教皇権の干渉を排除,また 86年直臣,陪臣を問わず全国のあらゆる土地所有者をソールズベリーに集めて忠誠を誓わせ,同年全国にわたる土地調査書「ドゥームズデイ・ブック」を作成させるなど,他国に例をみない集権的封建制の基礎をつくった。フランス王フィリップ1世に対抗するためノルマンディーにおもむく途中,落馬して死亡。
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