パレオインディアン文化(読み)パレオインディアンぶんか

改訂新版 世界大百科事典 「パレオインディアン文化」の意味・わかりやすい解説

パレオ・インディアン文化 (パレオインディアンぶんか)

新大陸で最古人類文化と解釈されている先史文化の総称。パレオ・インディアンPaleo-Indian文化は時期的には上部洪積世から沖積世初頭に位置づけられ,石器製作技術や共伴する動物相のちがいにより,プレ・プロジェクタイル・ポイント文化,プロジェクタイル・ポイント文化,パレオ極北文化に大別される。プレ・プロジェクタイル・ポイント文化は粗雑な剝片石器礫器に特徴づけられ,ペルーのパカイカサ文化アヤクチョ文化などに代表され,1万4000~1万5000年以前に比定されている。この段階の文化は新大陸への最古の人類の渡来を表すといわれているが,その解釈については賛否両論がある。プロジェクタイル・ポイント文化は押圧剝離技法による定型化した両面加工の尖頭器を特徴とし,1万4000~1万5000年前から8000年前に位置づけられ,北アメリカ南西部・大平原・東部森林地方,カリブ海周辺,南アメリカなどに広く分布する。このうち北アメリカのクロービスClovis文化,フォルサムForsum文化,プラーノPlano文化は,樋状剝離痕をもつ尖頭器や平行剝離痕をもつ木葉形尖頭器が特徴的である。パレオ極北文化はシベリアのジュクタイ文化(ジュクタイ洞窟),東アジアの細石器文化と関連があり,細石刃,細石核,両面核石器などに特徴づけられる。その分布域はアラスカ内陸部で,上部洪積世末期に発達した氷床の周辺のツンドラ地帯で発展した先史文化と考えられている。いずれもマンモス,ウマ,ラクダ科動物,オオナマケモノ,大型バイソンなど絶滅した動物の骨が共伴している。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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