パッツィ家礼拝堂(読み)パッツィけれいはいどう(その他表記)Cappella Pazzi

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パッツィ家礼拝堂」の意味・わかりやすい解説

パッツィ家礼拝堂
パッツィけれいはいどう
Cappella Pazzi

イタリアフィレンツェサンタ・クローチェ聖堂に付属するパッツィ家の礼拝堂。 1429年ブルネレスキの計画で起工された。彼はローマ古典に立返って調和ある構成を目指し,ドームの内部をコリント式柱頭をもつ角柱や浮彫装飾を施した梁,それに流麗なアーチなどを組合せて明快な空間とするとともに,ファサードでは従来の三角形ペディメントを排して,6本の円柱に支えられる壁面とするなどの新しい趣向をみせた。

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世界大百科事典(旧版)内のパッツィ家礼拝堂の言及

【サンタ・クローチェ教会】より

…イタリアのフィレンツェにあるフランシスコ会の修道院教会堂。その名は〈聖なる十字架〉を意味する。アルノルフォ・ディ・カンビオの設計になり,1294‐1385年建造。イタリア・ゴシック様式の代表的建築物で,フランシスコ会の教会堂として最大級の規模(全長115m,全幅74m)をもつ。T字形平面から成る3廊バシリカ形式で,東端に主祭室,その両脇に10の礼拝堂が位置する。基本構成と造形はシトー会の教会堂の強い影響下にあり,曲線的モティーフと華美な装飾を避け,細身の角柱と広い柱間が生みだすおおらかな空間の広がりと静謐(せいひつ)さを備え,側廊・身廊を覆う木造の小屋組もこの特性を強めている。…

【ブルネレスキ】より

…優雅な落着きをもつ半円形アーチ,正確な比例をもつコリント式オーダー,ペンデンティブ・ボールトなど古典建築を特徴づけていた典型的造形要素を,単なる細部の模倣に終始せず,所要建築物の構造的必然性と意匠的要求を理解したうえで合理的に用いた点で,一連の建築作品はルネサンス建築の輝かしい出発点となった。サン・ロレンツォ教会旧聖器室,パッツィ家礼拝堂によく示されるように,トスカナ地方特産の暗青灰色砂岩(ピエトラ・セレーナ)の構造部材と白いしっくい仕上壁とが好んで対比的に用いられ,建築の構造と骨格は内装意匠とのあいだに精妙な調和を保っている。この2作品は,いずれも頂塔付き円錐屋根でおおわれ,屋根裏にリブをもつ傘形ドームを架構するが,これは構造的にきわめて合理的な円蓋であった。…

※「パッツィ家礼拝堂」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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