角柱
かくちゅう
平行な2平面α、βとそれらに交わる直線l、およびα上の多角形Pがあるとき、Pの任意の点を通ってlに平行な直線の全体のつくる立体のαとβの間にある部分を角柱(斜角柱)という。このとき、多角形Pを底面、底面でない面を側面という。また、平行2平面α、βの距離を高さといい、底面の面積がS、高さがhの角柱の体積はV=Shである。底面が三角形、四角形、多角形であるのに応じて、三角柱、四角柱、多角柱という。多角柱はまた、平面α上の多角形がαに交わる直線の方向に平行移動してできる立体にもなっている。底面が平行四辺形の四角柱を平行六面体という。平行六面体は3組の平行な2平面で囲まれた立体ともいえる。その面はすべて平行四辺形である。角柱で、前に示した平面αと直線lが垂直のとき、これを直角柱といい、底面が正多角形の直角柱を正角柱という。底面が長方形の直角柱を直方体という。直方体は平行六面体の特殊な場合で、すべての面が長方形である。とくに、すべての面が正方形の場合の直方体を立方体という。
[栗田 稔]
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かく‐ちゅう【角柱】
〘名〙
① 底面が多角形である
柱体。多角形の辺数によって三角柱、四角柱などといい、側面が底面に垂直であるときを直角柱、垂直でないときを斜角柱という。
角壔(かくとう)。
② 断面が四角形、またはそれに近い形の柱。かくばしら。⇔
円柱。
※日本風景論(1894)〈志賀重昂〉四「其のバザルト石なるものの角柱数千万より湊成するを識り」
かく‐ばしら【角柱】
〘名〙
① 断面が四角形またはそれに近い形をしている柱。かくちゅう。〔日葡辞書(1603‐04)〕
※和歌呉
竹集(1795)三「かくはしら 竹をいへり。よとともに聞くぞ悲しき角はしらたゆまずふれる
雪折れの声」
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角柱【かくちゅう】
以前は角【とう】(かくとう)とも。一直線に平行な三つ以上の平面(側面)と,この直線に交わる二つの平行平面(底面)とが囲む立体。底面がn角形の角柱をn角柱という。平行六面体,直方体も角柱。角柱の体積=底面積×高さ。→円柱/角錐/円錐
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角柱
かくちゅう
prism
柱体の一つであって,底面が多角形であるものをいう。底面が三角形ならば三角柱,四角形であれば四角柱,一般に n 角形のときは n 角柱という。
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かく‐ちゅう【角柱】
1 二つの合同な多角形が平行し、他の面がすべて平行四辺形である多面体。角壔。
2 四角い柱。かくばしら。
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角柱 (カクバシラ・カコバシラ)
植物。イネ科タケササ類で大形の竹の総称。タケの別称
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かくちゅう【角柱 prism】
空間内に一つの多角形とその多角形の平面に平行でない一つの直線が与えられたとき,多角形を直線に沿って平行に移動していくことにより得られる立体図形を角柱という。はじめの多角形と移動の最後に現れる多角形とを底面,両底面間の距離を高さ,はじめの多角形の各辺の平行移動によってできる平行四辺形を側面,側面の交線を側辺または側稜という。底面がn角形である角柱をn角柱,底面と側面が直交する角柱を直角柱,底面が正n角形である直角柱を正n角柱という。
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世界大百科事典内の角柱の言及
【プリズム】より
…滑らかに研磨された平行でない平面を二つ以上もつ透明体。用途により,分散プリズム,偏角プリズム,偏光プリズムなどがある。ギリシア語およびラテン語のprismaに由来し,原義は〈削る〉。起源については明らかでないが,多くの稜をもつガラスに光を入射させるとスペクトルが得られることは古くから知られていたようで,1世紀にL.A.セネカが書いた《自然の研究》にもこのことが述べられている。プリズムに関してはニュートンが行った太陽光によるスペクトルの実験が有名で,彼は第1のプリズムによって得られたスペクトルを第2のプリズムを通すと再び白色光となることから,それぞれのスペクトルはもともと太陽光に含まれており,これらが集まって白色光となることを明らかにした。…
【柱体】より
…母線が底面と垂直である柱体を直柱体という。底面が多角形である柱体を角柱,底面が円である柱体を円柱という。底面が平行四辺形である角柱を平行六面体,底面が長方形である直角柱を直方体という。…
【社寺建築構造】より
…これらの部材からなる骨組みを軸部と呼ぶ。柱には丸柱と角柱があり,主要な部分には丸柱を用い,向拝(ごはい∥こうはい)や裳階のような従属的部分に角柱を使う。丸柱は,中ほどにギリシア建築のエンタシスに似た胴張りのあるもの(飛鳥時代),上端を丸く細めたもの(奈良時代),上にいくにしたがい細くなるもの(大仏様),上下端を細めたもの(禅宗様)がある。…
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