パラッツォ・ドゥカーレ(英語表記)Palazzo Ducale

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パラッツォ・ドゥカーレ」の意味・わかりやすい解説

パラッツォ・ドゥカーレ
Palazzo Ducale

イタリアのベネチア総督 (→ドージェ ) 邸。ベネチアンゴシック建築の代表作。 814年に創建された旧邸は2度の火災で全焼し,現在の建物は 1340~1419年に着工されたもの。尖頭アーチを連ねたアーケードロッジアを支え,その上に菱形文様で一面に装飾された大理石壁面を載せた華麗な建築。 24年に海と広場に面する2方向に拡張,改修された。内庭はルネサンス様式。内部はティツィアーノティントレットベロネーゼなどの絵で装飾され,大会議室にはティントレットの大作天国』がある。

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世界大百科事典(旧版)内のパラッツォ・ドゥカーレの言及

【ゴシック美術】より

… イタリア・ゴシック建築の特色あるもう一つの部門は,その諸都市の政庁,組合や豪商・貴族のパラッツォ(邸館)などの世俗建築である。フィレンツェのパラッツォ・デル・ポデスタ(1255),パラッツォ・ベッキオ(1298‐),シエナのパラッツォ・プブリコ(1289)が,いかめしい壁体に窓を重ね,そこにわずかの装飾を付し,ベネチアのパラッツォ・ドゥカーレ正面(1309‐1424)は開放されたアーケードの上に豪放な壁体をのせ,窓をあけ,アーチや窓のデザインに燃えるような壮観をあたえている。ベネチアにはカ・ドーロ(1421‐36)をはじめ,はなやかなゴシック装飾の邸館が大運河に面していくつも数えられる。…

【サン・マルコ広場】より

…170m×70m)とピアッツェッタ(小広場の意。83m×47m)の,L字形に連なる2部分に分かれ,前者の東辺にサン・マルコ大聖堂が,有翼ライオン像とテオドルス像を載せる2本の大円柱を介して海に開く後者の東辺にパラッツォ・ドゥカーレ(総督宮)が位置する。広場の歴史は最初期のパラッツォ・ドゥカーレと聖堂が創建された9世紀にさかのぼるが,現状に近い形をとったのは運河を埋め立てて拡張,整備が行われた12世紀中ごろである。…

【ベネチア】より

…すなわち大運河の北東には,サン・マルコ,カナレッジョ,カステッロ,南西にはサンタ・クローチェ,サン・ポーロ,ドルソドゥーロ(ジュデッカ島を含む)の区がある。歴史的にみると,町の政治的・経済的中心はサン・マルコ広場周辺にあり,パラッツォ・ドゥカーレ(総督宮),その私設礼拝堂として生まれたサン・マルコ大聖堂,新・旧行政館,図書館,造幣局などの古い公共的建物が集まっている。〈ヨーロッパで最も美しいサロン〉とナポレオンに絶賛されたこの象徴的な広場だけが,古来,イタリア語で広場を指すピアッツァpiazzaの称号を与えられており,現在もここが観光の最大の中心となっている。…

※「パラッツォ・ドゥカーレ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」