ヒトインターフェロン(その他表記)human interferon

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヒトインターフェロン」の意味・わかりやすい解説

ヒトインターフェロン
human interferon

インターフェロンは,生体の免疫を活性化させる働きのある生理活性蛋白の一グループ。抗ウイルス作用や抗癌作用を利用した医薬品として使われている。「夢の抗癌剤」とうたわれ,日本での抗癌剤としての開発は,1984年に東レが開発したβ-インターフェロンが製造認可されて以来,二十数社が競争を繰り広げたが,実際の臨床試験の結果,期待したほどの効果が得られず失望感が広がった。しかし,基礎研究が進むにつれ,インターフェロンの真の作用機構が明らかになり,それに基づいた新しい評価の気運が高まっている。ヒトインターフェロンにはα,β,γの3つのサブタイプがあり,さらにαには細部が異なった分子が少なくとも 15種類存在する。作用部位はαとβが共通で,ほぼ同じ働きを持っている。αは腎臓癌多発性骨髄腫 (白血病一種) に,βは皮膚癌の治療薬に使用が認められている。また,ウイルス性肝炎に著しい効果があることがわかり,盛んに使われている。

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