日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒューベル」の意味・わかりやすい解説
ヒューベル
ひゅーべる
David Hunter Hubel
(1926―2013)
アメリカの神経生理学者。カナダのウィンザーに生まれる。マッギル大学で数学と物理学を学び、1947年卒業、同大学医学部に進み、モントリオール神経学研究所を経て、1954年にアメリカに渡った。ジョンズ・ホプキンズ大学、ウォルター・リード陸軍研究所神経精神医学部に勤務したのち、1959年ハーバード大学に移り、1967年神経学教授に就任し1982年まで務めた。
ジョンズ・ホプキンズ大学とハーバード大学で、スウェーデンの神経生理学者T・N・ウィーゼルと共同研究を行った。彼らは微小電極を用いて、大脳皮質とくに視覚領の17野のニューロンレベルの研究を進め、視覚ニューロンの構造、およびそれが感覚をどう伝えるかを解明した。視覚ニューロンには単純型検出ニューロンと複雑型検出ニューロンの2階層が存在し、さらに大脳皮質には特定の刺激にのみ反応する細胞があることをつきとめ、感覚情報処理機構の階層性モデルを示した。彼らの業績によって、大脳皮質の研究分野において、視覚野の研究がもっとも進んだものになった。1981年「大脳皮質視覚野の情報処理に関する発見」により、ウィーゼルとともにノーベル医学生理学賞を受賞した。大脳機能の研究で知られたR・W・スペリーとの同時受賞であった。
[編集部]