ファジー論理(読み)ファジーろんり(その他表記)fuzzy logic

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ファジー論理」の意味・わかりやすい解説

ファジー論理
ファジーろんり
fuzzy logic

ロトフィ・A.ザデーが提案したファジー集合概念を基礎として,「真」と「偽」の中間真理値を認める論理。多値論理の一種である。普通,集合はそれを構成する要素(元)が明確に規定されており,集合 Aaを要素とするか(aA),あるいは要素としないか(aA)のどちらかが成り立つ。これは,集合 A命題とみなすと Aが成り立つ(真である),成り立たない(偽である)に対応する。そこで aが集合 Aの要素である度合いを示すメンバーシップ関数を用いて特徴づけられるファジー集合を用いると,メンバーシップ関数に対する操作として,通常の集合演算である共通集合,和集合の演算,あるいは部分集合の概念が定義でき,論理演算が定義できる。たとえば,普通の述語論理では「すべての…に対して…が成り立つ」という主張を行なうのに対して,ファジー論理では「非常に多くの…に対して…が成り立つ」という主張を使用することができる。制御や人工知能などの分野で曖昧さの概念を用いた判断が必要となる場合,ファジー論理が使われる例は少なくない。

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百科事典マイペディア 「ファジー論理」の意味・わかりやすい解説

ファジー論理【ファジーろんり】

あいまい論理とも。デジタル計算機は二値論理,つまり真(1)か偽(0)かのいずれか一方であることが明確な論理に基づいて作動する。このような二値論理に対して,真か偽かの判定に0から1までの〈あいまいさ〉をもつ値を与えた論理体系がファジー論理fuzzy logicであり,米国のシステム工学者ザデーにより1965年に導入された。ファジー論理によれば,人間の判断により近い推論ができるため,鉄道車両の運転制御や工場などの機器制御をはじめ,経済活動などの新たな分野への適用が開けてきた。またファジー論理に基づいて設計されたコンピューターファジーコンピューターであり,エキスパートシステムや制御システムに応用されている。

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