日本大百科全書(ニッポニカ) 「ファージョン」の意味・わかりやすい解説
ファージョン
ふぁーじょん
Eleanor Farjeon
(1881―1965)
イギリスの女流児童文学作家、詩人。小説家を父にもち、芸術的雰囲気豊かな家庭で教育を受ける。詩人デ・ラ・メアとエドワード・トーマスから大きな影響を受け、1914年、ロンドンの地名をもじったナンセンス詩を雑誌に連載して好評を博し、地歩を築いた。戦場の一兵士を慰めるための牧歌的恋物語『リンゴ畑のマーティン・ピピン』(1921)は子供にも読まれた。以後、『イタリアののぞきめがね』(1926)、『としとったばあやのおはなしかご』(1931)ほかを出して1920年代の代表的児童文学作家となった。しばしば伝承文学の形式を借り、響きのよい文体で、ユーモア、ナンセンス、詩情に富む物語を子供たちに送った。『ムギと王さま』(1955)でカーネギー賞、国際アンデルセン賞を受賞。
[神宮輝夫]
『石井桃子訳『ファージョン作品集』全7巻(1970~1986・岩波書店)』▽『松岡享子訳『町かどのジム』(1964・学習研究社)』▽『神宮輝夫編『銀色の時――イギリスファンタジー童話傑作選』(講談社文庫)』