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フィロポノス Iōannēs Philoponos

世界大百科事典 第2版の解説

フィロポノス【Iōannēs Philoponos】

5世紀末~6世紀後半の人。ヘルメイアスの子アンモニオスの弟子で,キリスト教(おそらく単性論派)的新プラトン主義者。彼の著作は,哲学,文学,修辞学,論理学,神学,数学,自然学に及び,《創世記》の宇宙生成論をみずからの自然学的知識で弁護したり,ポルフュリオスニコマコスの注釈を書いたりしているが,彼の最大の仕事はアリストテレスの著作への注釈である。なかでも注目されるのは,アリストテレス《自然学》に対する注釈の中で,鋭利なアリストテレス批判を通して,例外的に早い時代に近代運動論への道を予言的に指し示したことである。

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世界大百科事典内のフィロポノスの言及

【力】より

…このとき力は,運動の原因である。慣性運動のように,一見作用力が働いていないようにみえる運動にも強制的運動力は働いているのであって,それは,フィロポノスの〈非物体的asōmatosな運動力〉,イスラムの〈マイルmayl〉,そして14世紀以降のヨーロッパの〈インペトゥスimpetus〉などの概念に結実している。 ガリレイは慣性運動を〈力の働かない〉運動としてとらえることに成功し,デカルトはそれを〈等速直線運動〉として定義したが,デカルトにおいては,運動と物質とは,神が創造に当たって同等の資格で措定したものであり,したがって,運動はいかなる場合にも減少したり消滅したりすることはない,という立場をとった。…

【力学】より

…この考え方では,慣性的運動(外から運動力が加えられていないように見えてなお運動が起こっている場合)が説明できない。そこで多くのアド・ホックな説明が生まれたが,アリストテレスのビザンティンにおける注釈者フィロポノスが案出した〈非物体的運動力〉,つまり目に見える形で物体に対して近接作用的に働く力が認められない場合でも,物体内部に運動力が〈込められ〉て,〈残留する〉ことがあるという考え方が,イスラム,中世後期ヨーロッパでさまざまな形で利用されることになった。 一方,自然落下現象はアリストテレスにあっては,運動力を原因とするものではない。…

※「フィロポノス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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