ブラッツァ(読み)ぶらっつぁ(英語表記)Vratsa

デジタル大辞泉 「ブラッツァ」の意味・読み・例文・類語

ブラッツァ(Vratsa/Враца)

ブルガリア北西部の都市。首都ソフィアの北約60キロメートル、バルカン山脈北麓に位置する。古代トラキア人墳墓や集落跡が見つかっている。オスマン帝国時代、皮革業などの手工業発展。第二次大戦後、共産政権主導により、工業化が進められた。18~19世紀の民族復興期の建築物が多く残る。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブラッツァ」の意味・わかりやすい解説

ブラッツァ
ぶらっつぁ
Vratsa

ブルガリア北西部、ブラッツァ県の県都。スタラ・プラニナ(バルカン)山脈北麓(ほくろく)、首都ソフィアの北60キロメートルに位置する。人口8万5218(2001)。近郊に紀元前4世紀にさかのぼるトラキア人の墳墓がある。町の起源は、12~13世紀の第二次ブルガリア帝国時代の要塞(ようさい)から発展し、オスマン帝国時代には皮革加工職人の町として知られた。18世紀末には司祭ソフロニーBrachanski Sofronij(1739―1813)が赴任して、この地方の民族覚醒(かくせい)運動をリードし、19世紀に入ると教会から独立した世俗の教育を行う近代的な学校が設立され、ブルガリア系住民の活発な文化活動が展開された。1878年にオスマン帝国から独立すると、食品工業やゴム加工業などが創業され、社会主義時代の1960年代には、化学や鋳造などの工場が設立された。市内には、前述の墳墓から発掘された多数の埋葬品を展示している歴史博物館があるほか、18~19世紀の民族復興期の建築物が多く残されている。近郊には国の天然記念物に指定されているレドニカLednika洞窟(どうくつ)がある。

[寺島憲治]

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