プラダー・ウィリー症候群

  • (遺伝的要因による疾患)
  • Prader-Willi syndrome
  • プラダー・ウィリーしょうこうぐん

朝日新聞掲載「キーワード」の解説

染色体の異常により1万人〜1万5千人に1人が発症するとされる。満腹中枢に障害が出て2〜3歳から過食が始まり、20歳ごろから糖尿病になる確率が高くなる。個人差はあるものの、盗み食いなどの異常のほか、こだわり、理屈っぽさ、怒りっぽさなどが成長とともにあらわれ、対人関係支障をきたすことがある。早期診断、治療で過度の肥満を抑えたり、低身長を改善したりできる。PWS児の親でつくる「竹の子の会」は、本人の努力周囲の理解・支援しだいで問題行動が軽減され、地域で暮らす人もいるため、学校や病陰地域の受け入れ態勢整備が必要としている。

(2006-02-05 朝日新聞 朝刊 生活1)

出典 朝日新聞掲載「キーワード」朝日新聞掲載「キーワード」について 情報

六訂版 家庭医学大全科の解説

 15q11部分の遺伝子変異による疾患です。通常の染色体分析では欠損部位がはっきりと検出されない微細欠損が多いためFISH法(蛍光色素で標識したDNAの断片を使って、その断片に相当するゲノム部位の欠損などを検出する方法)を利用して診断がなされます。

 この症候群は、出生時に筋緊張低下が強いことから気づかれ、発達は遅れがちになります。幼児期より食事量が増え、小児期より肥満傾向が出ますが、手足は比較的細く先細りです。痛みの感じ方が弱く、痛みの訴えも少ないので、周囲の注意が必要です。比較的こだわりが強い性格なので、疾患の特徴をよく理解して養育に関わることも大切です。

 低身長には成長ホルモン治療が考慮されることもあります。性腺機能も低下します。過食は極端な肥満にもつながるので、食事の盛りつけを工夫するなど本人の満足をはかったうえでの食事量のコントロールとともに運動が大切です。

 この疾患の原因は、父由来の遺伝子が発現しないこと(父由来の遺伝子の欠損、父由来の15番染色体が欠失し母由来の染色体が重複したダイソミーなど)によることがわかりました。この疾患と同じ部位に遺伝子の変異がある疾患には、けいれんや発達障害で知られるアンジェルマン(Angelman)症候群がありますが、これは逆に母由来の遺伝子発現がありません。このように親のどちらから由来したかによって遺伝子の発現が違う現象は、ゲノム刷り込み現象(インプリント)と呼ばれます。

古山 順一, 玉置 知子

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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