ホスホマイシン

化学辞典 第2版 「ホスホマイシン」の解説

ホスホマイシン
ホスホマイシン
fosfomycin

(2R-cis)-(3-methyloxiranyl)phosphonic acid.C3H7O4P(138.06).Streptomyces fradiaeなどが産生する抗生物質.現在では化学合成される.水溶性の白色結晶.融点約94 ℃.-3.5~-5.5°(水).ホスホエノールピルビン酸に構造が似ているために,UDP-GlcNAc-ホスホエノールピルビン酸転移酵素を阻害して,細菌の細胞壁ペプチドグリカン合成を止める.グラム陽性菌グラム陰性菌に広く有効で,緑膿菌や多剤耐性ぶどう球菌(MRSAなど)にも効く.Na塩はLD50 1.6 g/kg(ラット静注),Ca塩はLD50 7 g/kg(ラット,経口).[CAS 23155-02-4]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のホスホマイシンの言及

【抗生物質】より

…グラム陽性菌に有効で,主として外用で用いる),フシジン酸(ステロイド構造。グラム陰性菌に有効で,内服,外用する),ホスホマイシン(グラム陽性菌および陰性菌に広い抗菌スペクトルをもち,内服あるいは注射で用いる),ノボビオシン(ブドウ球菌などのグラム陽性菌および一部のグラム陰性菌に有効で,内服,注射),リンコマイシン(グラム陽性菌に作用し,内服,注射)などがある。
[抗真菌(抗カビ)抗生物質]
 人体のカビ疾患は,カンジダ菌の肺,肝臓などの感染による重篤な症状や,白癬(はくせん)菌による水虫などの皮膚疾患が知られており,とくにこれらの菌に対する有効物質が求められている。…

※「ホスホマイシン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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