日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホッキョククジラ」の意味・わかりやすい解説
ホッキョククジラ
ほっきょくくじら / 北極鯨
bowhead
[学] Balaena mysticetus
哺乳(ほにゅう)綱クジラ目セミクジラ科のヒゲクジラ。グリーンランドクジラともよばれている。頭部は体長の3分の1を占め、上顎(じょうがく)は弓状に湾曲する。セミクジラに似ているが、頭部にボンネットやいぼ状隆起はない。全身黒色であり、下顎前部は白く、尾部の後部が白い個体も多く存在する。北緯55~78度の北極海とその近くの氷海でのみ生活し、オキアミ類と動物プランクトンの橈脚(とうきゃく)類を餌料(じりょう)としている。古代捕鯨とアメリカ式捕鯨により資源は極端に減少したが、ベーリング海系群は現在7500頭が存在し、アメリカとロシアの先住民族が、「先住民生存捕鯨」の名で捕獲を許されている。
[大隅清治]