日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホッブハウス」の意味・わかりやすい解説
ホッブハウス
ほっぶはうす
Leonard Trelawney Hobhouse
(1864―1929)
イギリスの社会学者。オックスフォード大学卒業。『マンチェスター・ガーディアン』(現、『ガーディアン』)紙の記者、労働組合の書記、『トリビューン』紙の編集者などを経て、1907年にロンドン大学教授となり、死去するまでその任にあり、イギリス社会学の発展に貢献した。とくに1908年に彼によって創刊された『社会学評論』Sociological Reviewは、当時のイギリスでは唯一の社会学雑誌であり、重要な意味をもつ。彼は、社会の発達を、一方における知識の進歩、他方における人々の共同生活体の増大、社会的能率の向上、個人の自由の増進、の調和的発達としてとらえる。それはまた、社会生活を拘束するような要因によって生み出されるのではなく、あくまでも諸個人の相互的協働の所産として現実化するものであった。ここには、J・S・ミルやH・スペンサーからの社会進化の考え方の影響がみられ、また、アメリカの社会学者L・F・ウォードの社会力学からの影響もみられる。主著に『社会進化と政治理論』(1911)、『自由主義』(1911)、『合理的善』(1921)などがある。
[田中義久]
『清水金次郎訳『自由主義』(1946・三一書房)』