改訂新版 世界大百科事典 「ボルトキエビチ」の意味・わかりやすい解説
ボルトキエビチ
Ladislaus von Bortkiewicz
生没年:1868-1931
統計学者,経済学者。ロシア生れのポーランド人。ドイツで教育を受け,一時ロシアに帰ったが,ベルリン大学に教職を得,死ぬまでベルリンにとどまる。当時のドイツにおける数少ない数理統計学者の代表的人物であった。彼の貢献は人口統計学,保険学,数理統計学,確率論,数理経済学などの分野にわたる。なかでも有名なものは,事故のような現象が一定期間中に起こる回数がポアソン分布に従うことの発見で,これを彼は〈小数の法則〉と名づけた。また彼は,人口や社会現象の規則性を確率論の援用によって確立したドイツの統計学者・経済学者レキシスWilhelm Lexis(1837-1914)の方法を拡張して,標本分散を標本分布で割ることにより,分布がポアソン分布に従うかどうかを検定する方法を提案した。経済統計に関連して指数論,また経済学に関連してマルクス価値論の数学的定式化における貢献でも知られている。
執筆者:竹内 啓
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報