マキバサシガメ(読み)まきばさしがめ(英語表記)damsel bug

改訂新版 世界大百科事典 「マキバサシガメ」の意味・わかりやすい解説

マキバサシガメ (牧場刺亀虫)
damsel bug

半翅目マキバサシガメ科Nabidaeの昆虫総称,またはそのうちの1種を指す。本科はサシガメ科によく似るが,口吻こうふん)は4節で長く,発音溝がふつうなく,前脚の基部が後方に開き,前翅の爪状(そうじよう)部が長くその合せ目は小楯板(しようじゆんばん)より長く,軟弱な感がするなどの点で区別される。世界に約300種。日本に22種以上いる。地上,草上,樹上などに生活し,すべて食虫性。害虫天敵となる種類が多い。

 マキバサシガメNabis reuteriは体長7~8mmで,灰褐色で前・後翅ともよく発達する。北海道,本州,韓国,シベリアなどに分布。コバネマキバサシガメN.apicalisは体長5~7mmで前種に酷似するが,翅は非常に短く,日本全国に分布する。アカマキバサシガメGorpis brevilineatusは体長10mm内外で赤褐色。山地の樹上に生活する。アシブトサシガメProstemma hilgendorffiは体長6mm内外。黒色の光沢があり,前胸背後葉部と翅は橙赤色で黒紋があり,肢もおもに橙黄色地表で生活し,他の昆虫を吸食する。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マキバサシガメ」の意味・わかりやすい解説

マキバサシガメ
まきばさしがめ / 牧場刺椿象
damsel bug

昆虫綱半翅(はんし)目異翅亜目マキバサシガメ科Nabidaeに属する昆虫の総称。サシガメ科の種類に似るが、口吻(こうふん)が四節からなることで区別される。かつてサシガメ科の一亜科とされていた。植物上や地上(地表)にすみ、小昆虫などを捕食する。産卵は葉上に行うことが多いが、ときに植物組織中のこともある。地上性のアシブトヘリカメムシのほか、植物上にすむハネナガマキバサシガメ、コバネマキバサシガメ、ハラビロマキバサシガメ、アカマキバサシガメなど十数種が知られる。

[林 正美]

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