大学事典 「マトリケル」の解説
マトリケル[独]
学籍登録簿。ボローニャやハイデルベルク,ウィーンなどヨーロッパの大学では,中世以来,大学の名簿に自分の名前を「記入する」ことにより,大学の一員になることを許され,大学生としての権利を保障されるという慣行が採られて来た。この名簿を「マトリケル」と言う。名簿には名前のほか,出身地,在籍期間なども記され,印刷して残されている。ドイツの古い大学は,これらを大学に関わる文書としてアーカイブ(文書館)に保管している。これにより,誰がいつ,どこの大学で学んだかを知ることができる。現在でもドイツの大学には,大学入試に相当するものはない。アビトゥーア試験(ドイツ)と呼ばれる大学入学資格試験に合格した者は,希望する大学に「登録する」ことにより入学を許可される。「登録(ドイツ)Immatrikulierung」は同時に入学許可を意味している。この登録の記録が大学のマトリケルに保管される。
著者: 木戸裕
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報