ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ミトラダテス6世」の意味・わかりやすい解説
ミトラダテス6世
ミトラダテスろくせい
Mithradatēs(Mithridatēs) VI Euparōr
[没]前63. パンチカパエウム
ポントス王 (在位前 120~前 63) 。ミトリダテス6世とも呼ばれる。ミトラダテス5世の子。母と対立して一時亡命していたが,突然首都シノペに現れ,母を入牢させ,兄を殺し,妹ラオディケを妻として即位。父の国土拡張政策を再開。初めに小アジア各地を侵略し,東方経営に乗り出したローマと衝突。前 88年ローマの後ろだてによるビチュニア王ニコメデスのポントス侵入により,第1次ミトラダテス戦争が始まった。彼は小アジア全域でローマの搾取からの解放者として迎えられ,ロドス島を除くエーゲ海の島々やギリシア本土も占領するにいたった。しかしローマの将軍 L.スラに敗れ,前 85年ダルダヌスの講和で全征服地を手放した。前 81年にはローマと再び対決し,海賊と手を組み富を築いた (第2次ミトラダテス戦争) 。前 74年ローマのビチュニア併合政策と対決し,第3次ミトラダテス戦争となった。ローマ軍にポントスから追い出されたが,ローマ軍内部の紛争により領土を回復 (前 68~前 67) 。しかし前 66年ローマの将軍ポンペイウス (大ポンペイウス) によってニコポリスで敗北,クリミアに逃亡し,自刃した。ローマにとって,オリエントで最大の敵対者であった。
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