モハンマドハサンハーン(英語表記)Moḥammad Ḥasan Khān

改訂新版 世界大百科事典 「モハンマドハサンハーン」の意味・わかりやすい解説

モハンマド・ハサン・ハーン
Moḥammad Ḥasan Khān
生没年:1843-96

カージャール朝官僚,歴史家。一般にエーテマードッサルタネE`ṭemād al-Salṭaneと通称される。1851年,9歳でダーロル・フォヌーン陸軍科の第1期生となる。1863・64年,パリのイラン大使館に武官として赴任,4年間滞在した。1867・68年,帰国してナーセロッディーン・シャー付のフランス語通訳官となり,シャーの3度にわたる訪欧(1873,77,89)にはいずれも随行した。彼の功績は官僚としてよりも,25年間におよぶ出版局長,同大臣の在任期間中(1872-96)に行った歴史家としての文化事業にある。全国に散らばる役人学者を動員して史料と情報の収集に努め,官撰の史書,地誌を編纂した。これらは近代イラン史研究のための根本史料となっている。また,官報《イラン》の編集にたずさわり,《マシュハド巡礼記》《エーテマードッサルタネの日記》ほか多数の貴重な史料を残した。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android