通常は他の動物の食物となっている小鳥が,外敵に対して攻撃をしかける行動。擬攻と呼ばれることもある。この行動は,大別して二つの状況下で見られる。一つは,外敵が巣や巣立ち雛に近づいた時である。この場合は,その巣の親鳥が,あるいはその周辺にいる何羽かの鳥がいっしょになってモビングを行う。もう一つは,静かに枝にとまっているフクロウ類や空を飛ぶワシタカ類を見かけた時である。この場合には,付近にいる同種あるいは異種の鳥が群れになって行うことが多い。いずれの場合にも,モビングをする鳥は,やかましい声で鳴きたてながら激しく飛びまわって外敵を追いたてるが,外敵に傷をおわすほどの攻撃をしかけることはない。したがって,どのくらいの実効があるのかはよくわかっていない。しかし,少なくともその行動を起こした場所を外敵が回避することには役だっているように思われる。
執筆者:樋口 広芳
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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