日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
モルゲンシュテルン(Christian Morgenstern)
もるげんしゅてるん
Christian Morgenstern
(1871―1914)
ドイツの詩人。画家の子としてミュンヘンに生まれる。1894年ころから物書きを本職とし、寄席(よせ)の台本なども書いたが、結核のためしばしば療養所に入らなければならなかった。1910年以降は南チロールに住む。イギリスのナンセンス詩に近く、グロテスクだが残忍ではない詩、神も精神も失い唯物論化した世界を感情的に霊化し、楽しませようとする詩集『絞首台の歌』(1905)によって有名になる。その言語の扱いは、後代の詩に影響を与えた。ニーチェ、仏教、友人の哲学者R・シュタイナーの人智(じんち)学にも触れ、深く内省的魂の歌『われら一つの道を見出せり』(1914)に達した。イプセンら北欧文学の作品の翻訳もある。
[横田ちゑ]