日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤシガイ」の意味・わかりやすい解説
ヤシガイ
やしがい / 椰子貝
melon shell
[学] Melo melo
軟体動物門腹足綱ヒタチオビガイ科の巻き貝。別名ハルカゼガイ。台湾近海から太平洋の熱帯水域に分布する大形種で、浅海の砂底にすむ。殻高22センチメートル、殻径13.5センチメートルに達し、殻は名のようにヤシの実形。成貝では螺塔(らとう)は現れず、体層は丸い。橙黄(とうこう)色の地に3列の黒褐色斑(はん)を巡らすが、老成すると厚い殻皮の下に消える。殻口は大きく、下端に水管の湾入がある。外唇は丸く湾曲し、軸唇には3個のひだがある。軟体は大きく、蓋(ふた)を欠く。肉は食用にされ、殻は置物など装飾用に使われる。
同属でインドネシア産のヤヨイハルカゼガイM. aethiopicaや、北オーストラリア産のツノヤシガイM. amphoraも、装飾品などとしてよくみられる。
[奥谷喬司]