改訂新版 世界大百科事典 「ライフアイゼン」の意味・わかりやすい解説
ライフアイゼン
Friedrich Wilhelm Raiffeisen
生没年:1818-88
ドイツの農業協同組合指導者。ライン川支流のジーク河畔ハムに町長の子として生まれる。17歳のとき志願して軍隊に入ったが眼病のため1842年除隊,コブレンツ市庁臨時雇からマイエンの郡書記を経て,45年27歳でバイエルブッシュ自治区長となった。以来65年失明のため退職するまでラインラント・ファルツ州各地の町村長を務め,以後もっぱら農業協同組合運動に全身をささげた。1846-47年の凶作に苦しむ農村民の窮状に心うたれ,私財を投じて消費組合を設立(1846),穀物の共同購入や組合製パンなどによって農民救済を図った。その後も各地に救済組合を設立し,種子や5ヵ年年賦の家畜の供給や貸付金庫を設けての資金の供給を行った。だが,真の救済更生のためには農民自身の自助努力の必要を痛感し,64年新たに組合員の出資による農業信用組合を設立して成功し,急速な普及をみた。76年には全国的なドイツ農業中央貸付金庫を,翌77年には農業協同組合中央会を,さらに81年農業用品共同購入の中央機関をも創立,農村における協同組合の巨大な系統にまで発展させた。これら三つの中央機関の会長として,その発展に尽くした。主著《貸付金庫》(1866-87)。
執筆者:相川 哲夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報