リスボン条約第50条(読み)りすぼんじょうやくだいごじゅうじょう

知恵蔵の解説

リスボン条約第50条

EU(欧州連合)の基本的な機能・運営方法を定めたリスボン条約(2009年12月発効)の第50条。EUからの離脱の権利と手続きを定めている。第1項に「すべての加盟国は、自国の憲法の要件に応じて離脱を決定できる」とあり、続いて具体的な手続きとして、「離脱を決めた加盟国は、欧州理事会に通知すること」「EUは将来的な関係を鑑みた上、EUの枠組みと照らし合わせながら、その国と交渉すること」「EU条約は通知から2年後、その国に適用されなくなること(ただし、欧州理事会が満場一致で期間延長を認めた場合は除く)」などと定めている。第5項では「離脱した国が再加盟を求めること」も認めている。なお、再加盟を含む加盟の手続きは第49条に規定。
本条項が初めて発動されたのは、イギリスである。イギリス政府は16年6月に実施した国民投票に基づき、EUからの離脱(Brexit)を決定した。国民投票を実施したキャメロン首相の辞任を受けて翌7月新首相に就任したテリーザ・メイは、元来は離脱反対派だった。しかし国民投票の結果を重視し、英国議会での法的整備を完了させた上、リスボン条約第50条を発動。17年3月、欧州理事会に正式な離脱を通知した。翌4月、イギリスを除く加盟27カ国は臨時首脳会議を開き、未払いの分担金(最大600億ユーロ)の支払いやイギリスに暮らすEU加盟国出身者の権利保護などを優先する離脱指針を採択した。今後、2年間にわたり、EU本部があるブリュッセルで離脱交渉が行われる予定。
なお、イギリスはEUの前身であるEC(欧州共同体)に1973年に加盟して以来、欧州統合の動きとは一定の距離を置いてきた。共通通貨ユーロを採用せず、域内での自由な移動を認めたシェンゲン協定も結んでいない。

(大迫秀樹 フリー編集者/2017年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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