リチャードソン数(読み)りちゃーどそんすう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「リチャードソン数」の意味・わかりやすい解説

リチャードソン数
りちゃーどそんすう

2種類の流体水平面を境にして上下に重なっており、互いに異なった流速で水平方向に流れている場合を考える。境界面の乱れによって、たとえ、上にある流体が、下にある流体より密度が低くても(たとえば、水の上に油をのせても)互いに混じり合ってしまうような場合がある。これをケルビン‐ヘルムホルツ不安定というが、リチャードソン数は、この不安定が生じるかどうかの目安を与える数である。混合がおこると、密度の小さい流体が密度の大きい流体の下になり、重力エネルギーは損をするのに対し、上になった密度の大きい液体はゆっくりとしか動かないので、運動エネルギーは得をする。したがって、二つのエネルギーの損得を比べれば、この混合不安定がおこるかどうかの判断ができる。リチャードソン数は、重力エネルギーの変化量と運動エネルギーの変化量の比として定義されている。

池内 了]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

法則の辞典 「リチャードソン数」の解説

リチャードソン数【Richardson's number】

成層圏の中での乱流発達減衰を示すパラメータ.乱流エネルギー方程式におけるレイノルズ応力浮力とによるエネルギー生成率の比として定義される.「フラックス‐リチャードソン数」ともいう.記号Rf である.

ここで H が熱のフラックス,CP空気定圧比熱,τ はレイノルズ応力,&scriptg;重力加速度U は平均水平風速である.

出典 朝倉書店法則の辞典について 情報

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