日本大百科全書(ニッポニカ) 「リフ戦争」の意味・わかりやすい解説
リフ戦争
りふせんそう
モロッコの反スペイン・フランス植民地主義抵抗運動。アブデル・クリムの反乱ともよばれる。1912年にモロッコ北部の領有権を得て、リフ地方の占領にとりかかったスペインに対して、アブデル・クリムの指導する同地方の部族勢力は、武力抵抗を開始した。1921年にアンワールで大勝を収めたのち、タンジール周辺を除くリフ地方一帯を支配するに至り、1923年に「イスラム共和国」の樹立を宣言した。1925年にフランス領に戦闘が拡大したのち、スペイン軍とフランス軍の共同作戦による反撃を受けてリフ軍は劣勢に陥り、翌年5月にアブデル・クリムも降伏して戦争は終結した。
リフ戦争は、植民地支配に対する武力抵抗であると同時に、第二次世界大戦後の民族解放運動とも共通する性格をもっており、共和国宣言の形で植民地体制の傀儡(かいらい)となったモロッコ・スルタン政府への批判を表明した。さらにヨーロッパの左翼政党が、反戦と反帝国主義の課題を結び付けて植民地問題に取り組んだ最初のケースであり、国際的な支援があったことも特徴とされる。
[宮治一雄]