メリリャ(読み)めりりゃ(英語表記)Melilla

日本大百科全書(ニッポニカ) 「メリリャ」の意味・わかりやすい解説

メリリャ
めりりゃ
Melilla

北アフリカ、モロッコ北東部、地中海岸にあるスペイン領の港湾都市。トロワフルシェ岬の基部に位置し、行政的には本国マラガ州の飛び地である。面積14平方キロメートル。人口6万6411(2001)のうち、スペイン人が90%を占める。自由港である商港と、地中海の重要な漁業基地である漁港をもつ。また背後のリーフ山脈東部にあるケラタ鉱山で採掘される鉄鉱石や鉛鉱石の積出し港としても知られる。工業は建材、食品加工、船舶修理などがある。

 フェニキア人が建設し、ルサディールとよばれた古い都市で、カルタゴローマが相次いで占領し植民地とした。8世紀初めにイスラム教徒が征服し、中世にはフェズなど内陸都市の外港であった。15世紀末スペイン、ポルトガルイベリア半島からイスラム勢力を駆逐し、余勢を駆ってマグレブ諸地方の港を占領したが、メリリャは1497年にスペイン領となった。16世紀以後、何回かモロッコに奪回されたが、1926年最終的にスペイン領となり39年本国の一部となった。1912年にスペインに分割されたモロッコ北東部の主権を1956年モロッコが回復してからも、メリリャはセウタなどとともにスペイン領として残り現在に至っている。市街メディナとよばれるアラブ風の旧市街と、スペイン風の新市街とに分かれる。旧市街は高所を占め16世紀の城壁を備えている。新市街はその南西にあり海岸にかけて広がっている。

[藤井宏志]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「メリリャ」の意味・わかりやすい解説

メリリャ
Melilla

アフリカ北部,地中海に面するスペイン飛び領の重要都市。同じくスペインの飛び領であるセウタの東南東約 220kmに位置し,モロッコ領土とは壁をめぐらして厳重に分離されている。アラブ風の旧市街は高い岩山に位置し,その南から西方に近代的な新市街が広がっている。古代はフェニキア,カルタゴ,ローマの植民市でルサディルと呼ばれていた。その後ベルベル人に領有されたが,1497年スペインに占領され現在にいたる。 19世紀末の人口はわずか 3000人程度であったが,1914年港湾施設が完成し,後背地にスペイン人が居住するようになってから急速に発展。モロッコの鉄鉱石や鉛鉱石の積出港として重要である。面積 14km2。人口5万 6661 (1987推計) 。

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