改訂新版 世界大百科事典 「リポル」の意味・わかりやすい解説
リポル
Ripoll
スペイン東部,カタルニャ地方ジローナ(ヘロナ)県の町。人口9283(1978)。ベネディクト会のリポル・サン・フアン修道院(リポル修道院,現在は遺構のみ)で知られる。この修道院は6世紀にはすでに存在していたと考えられるが,ベネディクト会の設立とは言い難い。8世紀後半のバルセロナ伯ビフレドの時代に伯王家の霊廟となり,ジローナの北アウソナ地区の再植民運動の拠点となった。11世紀前半の修道院長オリバの時代に最盛期を迎え,ブルゴスのベネディクト会シロス修道院とともにイベリア半島における文化の中心地になった。12~13世紀にはカタルニャ・ロマネスク芸術の代表作とされるファサードや内部の彫刻,多彩色の壁画《十字架上のキリスト像》が完成した。しかし12世紀後半から修道院の権勢は衰えていった。
19世紀初頭のスペイン独立戦争ではナポレオン軍の攻撃を受けて破損し,1835年8月には自由主義政府によって閉鎖を命じられた。その2ヵ月後,火災で建物の大部分と写本70冊を焼失し,残った230冊はバルセロナのアラゴン連合王国古文書館へ移された。その後,復元作業が行われたが,1930年代には反教会暴動や内乱によって再度多大な損害を被った。
執筆者:フアン・ソペーニャ
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報