ブルゴス(読み)ぶるごす(英語表記)Burgos

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブルゴス」の意味・わかりやすい解説

ブルゴス
ぶるごす
Burgos

スペイン北部、カスティーリャ・イ・レオン地方ブルゴス県の県都。人口16万6187(2001)。メセタの北東縁、ドゥエロ川上流の小支流アルランソン川に臨み、標高860メートルに位置する。20世紀に入り、フランコ政権下でスペイン工業発展計画の中心の一つとなり、木綿や化学繊維、電気、化学などの近代工業が立地した。北岸の旧市街北部には中世城跡やサン・エステバンの城門(13世紀)が残る丘がある。大聖堂(13~15世紀)は壮大なゴシック建築で、英雄エル・シッドの墓があり、西正面の尖塔(せんとう)はケルン(ドイツ)出身の建築家ファン・デ・コロニアの手になる。ほかにサンタ・マリア門、市内から1キロメートル西にウェルガス修道院がある。

田辺 裕・滝沢由美子]

歴史

古代ローマの征服前からケルト系人が居住し、バスク地方とカスティーリャ中心部との間の経由地として知られていた。9世紀末、前世紀に侵入したイスラム教徒に対するアストゥリアス王国の前哨(ぜんしょう)地点として都市が形成され、伝説的英雄エル・シッドの生誕・活躍の地となり、11世紀にカスティーリャ王国の首都となった。16世紀のマドリード遷都で政治的意義は減じたが、その後も羊毛などの商業中心地であった。19世紀初頭、フランスの侵入軍に占領され、スペイン内戦(1936~39)では反乱派の政権所在地であった。

[深澤安博]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブルゴス」の意味・わかりやすい解説

ブルゴス
Burgos

スペイン北部,カスティリア・レオン州北部,ブルゴス県の県都。アルランソン川を見おろす標高 861mの丘陵上に位置し,自然の要塞をなす。 884年アストゥリアス王国の東の前哨地点として建設され,ポルセロス伯領の,次いでカスティリア王国の首都となった。以後,王国の商業の中心地として栄えたが,1560年マドリードに首都が移ると町は衰退し,18世紀になって再び発展した。 1936~39年のスペイン内乱では,フランコ将軍の本拠地。農業のほか,毛織物,革製品,化学肥料製紙などの工業が立地する。華麗なゴシック建築の一典型として知られる大聖堂 (1221着工,1567完成) のほか,聖ニコラス聖堂 (1505) ,聖エステバン聖堂 (1280~1350) など歴史的建築物が多い。人口 16万 381 (1991推計) 。

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