リー((Nelle) Harper Lee)(読み)りー(英語表記)(Nelle) Harper Lee

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

リー((Nelle) Harper Lee)
りー
(Nelle) Harper Lee
(1926―2016)

アメリカの女性作家。アラバマ州生まれ。南北戦争時の南軍の総指揮官リー将軍の子孫である。人種問題をテーマにした小説『ものまね鳥を殺せば』(1960、邦訳名『アラバマ物語』)でピュリッツァー賞を受賞。世界的なベストセラーとなり、1962年グレゴリー・ペック主演で映画化され、公民権運動の最盛期にタイムリーな主題だったこともあり、好評を博した。舞台は1930年代のアラバマ州の小さな町。物語は6~8歳期の少女の目を通して語られる。白人女性強姦(ごうかん)の罪を着せられた黒人トムを、少女の父親である白人弁護士アティカスが弁護をし、トムの無実を「証明」してみせるが、全員白人の陪審員は有罪の判決を下す。これは、1931年アラバマ州で起こったスコッツボロ事件を下敷きにしていると思われ、アティカスのモデルは、弁護士であったリーの父親だといわれている。リーの作品は、雑誌に掲載されたエッセイ4編を除けばこれだけであったが、人間の深い偏見に根ざす差別というテーマは普遍であり、いまも多くの人に読まれている。2015年に『アラバマ物語』のその後を描いた『Go Set a Watchman』を刊行した。

[佐川愛子 2015年7月21日]

『菊池重三郎訳『アラバマ物語』(1986・暮しの手帖社)』

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