アメリカの新聞王J・ピュリッツァーの遺言により、ジャーナリストの資質向上を目的としてコロンビア大学に1912年ジャーナリズム学部が設けられたのと連動して、1917年に創設された賞。ジャーナリズムのみではなく文学、音楽の各カテゴリーを対象とし、さらにそれぞれいくつもの部門に分けて、コロンビア大学内に置かれた委員会が選考にあたり、例年5月に授賞式がある。ジャーナリズムの公益部門の授賞者には金メダルのみが、それ以外の部門の授賞者には賞状と賞金が授与される。賞金は時代によって推移しているが、2024年時点ではそれぞれ1万5000ドルとなっている。
同賞の対象となるのは、アメリカ国内での諸活動ではあるが、ジャーナリズム部門ではアメリカでの掲載や発表さえあれば外国人も受賞の機会があり、1942年に新設された報道写真の部門で、1961年に当時毎日新聞社の写真部員であった長尾靖(やすし)(1930―2009)が「浅沼社会党委員長刺殺事件」の写真で日本人初の受賞を果たした。ベトナム戦争に取材した写真で1966年に沢田教一が、1968年には酒井淑夫(としお)(1940―1999)が受賞している。
ピュリッツアー賞は、ジャーナリストのノーベル賞ともいわれる栄誉ある賞である一方、受賞目的の記事捏造(ねつぞう)発覚などのスキャンダルにみまわれたこともある。
[平木 収]
『J・ホーヘンバーク著、天野景司訳『ピューリッツア賞物語』(1970・産業能率短期大学出版部)』
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…新聞記者の向上を願って彼は1903年,コロンビア大学に100万ドルを寄贈,同大はこれに基づき12年に新聞学部School of Journalismを発足させた。【香内 三郎】
[ピュリッツァー賞The Pulitzer Prize]
J.ピュリッツァーがコロンビア大学に遺贈した50万ドルを基金に,1917年から毎年5月に,大衆に推奨できるアメリカ人の作品に贈られる賞。ジャーナリズム12部門(賞金各1000ドル),文学6部門,音楽1部門を対象とする。…
※「ピュリッツァー賞」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新