ルアンプラバン王国(読み)ルアンプラバンおうこく

改訂新版 世界大百科事典 「ルアンプラバン王国」の意味・わかりやすい解説

ルアンプラバン王国 (ルアンプラバンおうこく)

ラオスの主要民族であるラオ族が14世紀に形成したラオス最初の王国。建国説話《クン・ブーホム》(または《クン・ボーロム》)では,ムアン・テーンの王クン・ブーホムの長子クン・ローがメコン川を下ってムアン・スワーにたどりつき,クン・ローから25代目のファーグム王が歴史上最初の王とされる。ファーグムはカンボジアから帰国して1353年ランサン(〈百万頭の象〉の意)王国の初代王となり,カンボジアから高僧とプラバン仏像を招来し,仏像の名にちなんで,都をルアンプラバンLuang Prabangと呼んだ。その後ビエンチャンに遷都した王国は,17世紀末に王位継承をめぐって王族間に争いが起き,1707年キンキットラートが旧都ルアンプラバンによってビエンチャンからの独立を宣言,ランサン王国は分裂した。ルアンプラバンは52年にビルマ軍に占領され,78年にはタイの属国となった。1883年にフランスがベトナムを保護領にすると,ベトナムにも朝貢していたルアンプラバンは,タイとフランスとの争奪の的となった。93年フランスはタイのバンコクに砲艦を派遣して威嚇し,メコン川左岸のラオスを保護領とした。1949年にラオスのフランス連合内での独立が認められると,ルアンプラバン王家がラオス王国の国王となった。しかし75年5月から始まった〈静かなる革命〉により,同年12月サワーンワッタナー国王がみずから退位して600年余り続いたルアンプラバン王家は消滅し,ラオス王国はラオス人民民主共和国に生まれ変わった。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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