翻訳|gunboat
1800年ころには,船形に比べ大型の大砲を数門搭載した沿岸警備用の小型帆走軍艦をいった。1850年代に沿岸警備用の小型汽走軍艦が生まれ,その艦種名となる。しかし,国,時代により概念は異なり,小型の軍艦を総称した場合もある。砲艦は最も大型のものでも約2000トン以下程度で自国の沿岸のほか,植民地や中国などでその警備や権益確保のために使われた。中国の長江(揚子江)にはイギリス,アメリカ,日本など列強が河用砲艦を派遣したが,河用砲艦は遡江(そこう)するために喫水が非常に浅く,約100~500トン,武装は小口径砲数門程度,小型艦では機関銃若干のみであった。日本では明治維新後,旧型の汽走軍艦など小型艦を砲艦に分類,19世紀末にこれを改訂し沿岸警備用の艦種名とした。第2次大戦後砲艦は廃れ,現在は存在しない。
執筆者:村上 純一
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湖水や河川など穏やかな水面での作戦を主目的とする小型、浅喫水の軍艦。航洋能力に重きを置かないかわり、居住性と通信能力に意を用いてある。日本海軍は揚子江(ようすこう)警備のため橋立(はしだて)型(基準排水量999トン)、伏見(ふしみ)型(304トン)、熱海(あたみ)型(205トン)などの砲艦を建造した。水上艦との戦闘は予期していないので比較的軽武装で、橋立型でも12センチ高角砲三門を備えるのみだった。イギリスやドイツもアフリカで湖水用の砲艦を配備した歴史をもっている。またベトナム戦争の際にはアメリカがメコン川に砲艦(艇)を浮かべ、対ゲリラ作戦に使った。砲艦外交のことばが示すように植民地支配もしくは大国による力の誇示を目に見える形で示す政治的な武器として使われることが多い。
[前田哲男]
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