ルイセンコ説(読み)ルイセンコせつ(英語表記)Lysenko's theory

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ルイセンコ説」の意味・わかりやすい解説

ルイセンコ説
ルイセンコせつ
Lysenko's theory

ソ連の生物学者 T.ルイセンコが提唱した遺伝学説で,「遺伝子説」に対立する学説。生物体の遺伝性を規定するのは,固定的な遺伝子のようなものではなく,環境の変化により生物体の物質交代の変化が生殖細胞形成の過程に関与するときは遺伝的となるとし,遺伝の人為的支配が可能であるとした。コムギ播性の遺伝的転化接木 (つぎき) 雑種などをもとに,メンデル=モーガン遺伝学の基礎を否定した。自説の拡張のため政治的な方策を利用するなどしたが,彼の遺伝学理論は現在ではまったく認められていない。ただし彼が初期 (1920年代) に打出した発育段階説は,のちの遺伝の理論とは異なり,一定の評価を得た。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android