ロクショウ(読み)ろくしょう(その他表記)verdigris
patina

改訂新版 世界大百科事典 「ロクショウ」の意味・わかりやすい解説

ロクショウ(緑青) (ろくしょう)
verdigris
patina

銅製の皿に食用の酢を触れさせこれを空気中にさらすことを繰り返すと,水酸化酢酸銅(Ⅱ)(塩基性酢酸銅)の混合物(2Cu(CH3CO22・Cu(OH2・5H2Oなど)が生成する。これが元来の意味でのロクショウであり,条件によって緑色あるいは青色を呈する。そのほか広義に金属銅に生ずる緑色のさびを意味することもある。たとえば水酸化炭酸銅(塩基性炭酸銅),水酸化塩化銅,水酸化硫酸銅などである(後2者は青さび)。顔料殺虫剤殺菌剤などに用いられる。
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百科事典マイペディア 「ロクショウ」の意味・わかりやすい解説

ロクショウ(緑青)【ろくしょう】

銅または銅合金表面に生ずる青緑色のさびのことを一般にロクショウという。空気中で生ずるものは種々の組成の塩基性炭酸銅(CuCO3・Cu(OH)2など)であって,クジャク石と同じ。亜硫酸ガスが空気に含まれるときは塩基性硫酸銅CuSO4・3Cu(OH)2,塩分におかされるときは塩化銅CuCl2やCuCl2・3Cu(OH)2なども成分となる。多くは有毒。青緑色顔料にも使用。
→関連項目錆/銹

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世界大百科事典(旧版)内のロクショウの言及

【青銅】より

…また年月を経ると,通常は銅が大気中の炭酸ガスと結合して緑青を生じる(この被膜がブロンズ保護の役割も果たす)。人工の色付け,自然の緑青,ともにパティナpatinaと呼ぶ。 ブロンズ鋳造法の起源は明らかではないが,すでに前4千年紀末のオリエントに始まったと考えられ,メソポタミア,アナトリア,パレスティナ,エジプト,地中海東部地域に広く伝播している。…

【絵具】より

…一般的には顔料と展色剤を練り合わせて作った彩色材料をいう。広義には白墨,木炭などのように顔料を押し固めたり,そのまま使えるもろい単体をも含める。少なくとも化学工業製品が世にあふれる19世紀初頭までは,ごく少しの例外を除いて,いずれの時代にも絵具の顔料は共通している。天然鉱石粉,泥土,金属(銅,スズなど)のさび類,動・植物染料がそのおもなものである。絵具の種類,性質は展色剤の違いによる。展色剤は顔料を支持体の面に広くひろげるのを助けるとともに,両者の接着剤として作用する。…

【銅】より

…硫化水素,二酸化硫黄,塩化水素を含む湿った空気に侵される。したがってとくに都市においては銅はしだいにロクショウCuSO4・Cu(OH)2を生ずる。海に近い地方では塩害も加わるため塩基性塩化物CuCl2・3Cu(OH)2を生ずることもある。…

【銅合金】より

…われわれが日常見る銅製品は黒く汚れたようにさびていることがあるが,適当な方法で磨けば美しい光沢と色調を示す。また,古くから伝わった青銅製品には風化作用によって風格のある緑色を示すものがあるが,これはロクショウ(緑青)といい,主として炭酸塩,酸化物からなる複雑な化合物である。 銅合金の種類はきわめて多く,アメリカのCDA(Copper Development Association)では表に示す3けたの数字で成分によって分類している。…

※「ロクショウ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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