さび(読み)サビ

化学辞典 第2版「さび」の解説

さび
サビ
rust

金属あるいは合金腐食生成物のうち,固体のものをいう.のさび層は,比較的緩く付着している外層と,強く密着している内層からなっているが,組成は内層,外層であまり差はなく,その主要結晶性構成分は,γ-FeO(OH)(lepidocrocite),α-FeO(OH)(goethite),およびFe3O4(magnetite)である.とくにSO2で汚染された工業地帯で生成した鋼のさび層は,Fe3O4が少なくなると同時にFeSO4・4H2Oの結晶が主として内層に見られる.一般にさび層は,マクロな割目もあり,腐食に対しての保護性は大きくない.耐候鋼は,Cu,Cr,Pなどの添加元素を含む低合金鋼で,大気中の腐食速度が普通鋼の数分の一のものである.これは,添加元素によりさび層が非晶質化し,保護作用が強化されたものと考えられている.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「さび」の解説

さび

俳諧用語。蕉風の俳諧においてその本質,風趣についていう語。去来は「さびはの色なり。閑寂なる句をいふにあらず。たとへば,人の甲冑を帯し戦場に働き,錦繍をかざりて御宴に侍りても老の姿有るが如し。賑やかなる句にも,静かなる句にも有るものなり」といっている。中世以来の幽玄美に,さらに枯寂な色調が加えられたもの。表面的,題材的な情調ではなく,対象をとらえる作者の心的観照,体験が「さび」をもっているのである。だから濃艶な題材を詠んでも「さび」は表われる。去来の「花守や白き頭をつき合はせ」の句について,芭蕉は「さび」色がよく表われたといってほめたという。

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百科事典マイペディア「さび」の解説

さび

美的興趣をさす言葉で中世の歌論・連歌論にも用いられているが,とくに俳諧用語として一般化した。蕉風俳諧においては〈しをり〉〈ほそみ〉と並称される句の姿の目標である。中世の〈幽玄〉〈ひえ〉〈〉(わび)の美意識を,芭蕉が自らの俳諧にそのまま生かそうとした,芭蕉俳諧の根本精神。去来は〈さび〉を句の色であると説明する。
→関連項目さび(錆/銹)止め丈草

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