一楊御厨(読み)ひとつやなぎのみくりや

日本歴史地名大系 「一楊御厨」の解説

一楊御厨
ひとつやなぎのみくりや

旧愛知郡内の伊勢神宮領。愛知郡の西端に位置し、西側で御厨川(現庄内川)および堤を挟んで海東かいとう富田とみた庄と境を接する。嘉暦二年(一三二七)作成された富田庄絵図(円覚寺蔵)に記載されている位置および同庄との境相論史料(円覚寺文書)から、現中村区西南部およびこの南方に続く現中川区の庄内川左岸一帯を中心とし、一部右岸をも含む地域に比定することができる。

七ツ寺一切経(七寺蔵)の奥書に「安元三年八月十四日書了、一楊御厨西郷政所書了」(「尼摩得勒伽」巻七)とあるのを初見とする。建久三年(一一九二)八月の二所太神宮領注進状写(神宮文庫蔵)によれば、嘉承三年(一一〇八)の注文に記載され「往古神領」と称されており、また富田庄との境相論史料に寛治年間(一〇八七―九四)官符が引かれているので、一一世紀末には神宮領として成立していたとみることができる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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