官符(読み)カンプ

精選版 日本国語大辞典 「官符」の意味・読み・例文・類語

かん‐ぷクヮン‥【官符】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 「だいじょうかんぷ(太政官符)」の略 ) 令制で、太政官から八省諸司、または、諸国に下した公文書
    1. [初出の実例]「応須退帰、被官符然後聴之」(出典:続日本紀‐天平一三年(741)閏三月乙丑)
  3. 中世、奈良興福寺の寺務、権別当、三綱をいう。
    1. [初出の実例]「寺務・権別当・三綱各称官符、諸会式行之、各上件職以官符任之間号官符也」(出典:大乗院寺社雑事記‐延徳二年(1490)一二月)
  4. かんぷしゅと(官符衆徒)
    1. [初出の実例]「領内博奕事不然、門跡難義子細共巨細官符古市方に仰遣、畏入、衆中可申合云々」(出典:大乗院寺社雑事記‐永正元年(1504)二月二五日)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の官符の言及

【太政官符】より

…太政官が管轄下にある官司に下した文書。略して官符ともいう。公式令で命令下達の文書と規定された符式によって,太政官から八省,大宰府,国司等に下すものであった。…

【符】より

…上申文書である(げ)に対応する下達文書である。太政官(だいじようかん)から八省や諸国へ下す太政官符,省から管轄下の寮や司へ下す省符,国から郡へ下す国符などがある。様式は第1行に差出所と充所があり,本文の書止(かきどめ)文言はすべて〈符到奉行〉(符到らば奉行せよ)である。…

※「官符」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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