一次冷却材(読み)いちじれいきゃくざい(その他表記)primary coolant

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「一次冷却材」の意味・わかりやすい解説

一次冷却材
いちじれいきゃくざい
primary coolant

原子炉炉心部から熱エネルギーを取り出すために炉心を冷却する気体液体をいう。冷却材として使えるためには,(1) 熱エネルギーを効率よく運ぶため比熱が大きい,(2) 炉心の核反応に影響しにくいために中性子吸収が少ない,(3) 放射線の影響で分解したり放射能をもったりしにくい──などの性質が望ましい。軽水炉では,燃料棒から熱をとるために,水を炉心に循環させており,これを一次冷却水という。ガス炉ではヘリウムや二酸化炭素 (炭酸ガス) ,高速増殖炉では液体金属 (ナトリウムなど) が使われる。一次冷却材は炉心部を通過することから,中性子により放射化され (水では 16N ,ナトリウムでは 22Na と 24Na ) ,また燃料棒より核分裂生成物の少量の漏れが冷却材に混入することがあり,放射性物質を含有する。原子力発電では,沸騰水型原子炉のように一次冷却材が炉心で沸騰して直接タービン発電機を回す直接サイクル方式と,加圧水型原子炉のように一次冷却材の熱で放射能を含まない別系統の冷却材を沸騰させてタービン発電機を回す間接サイクル方式とがある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の一次冷却材の言及

【原子炉】より

…このため,炉心を通る冷却材は直接熱利用系へ導かず,熱交換器で別の冷却材に熱を伝えてふたたび炉心に戻すようにすることもある。この場合,炉心を通る冷却材を一次冷却材,熱交換器で熱を伝達される冷却材を二次冷却材という。二次冷却材の水が熱交換器で蒸気をつくるとき,この熱交換器を特に蒸気発生器という。…

※「一次冷却材」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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