沸騰水型原子炉(読み)ふっとうすいがたげんしろ

精選版 日本国語大辞典 「沸騰水型原子炉」の意味・読み・例文・類語

ふっとうすいがた‐げんしろ【沸騰水型原子炉】

〘名〙 軽水炉一つ炉心を通る冷却水沸騰させ、送り出されてくる蒸気を直接タービンに導いて発電する原子炉。略称BWR。〔現代科学(1957)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「沸騰水型原子炉」の意味・読み・例文・類語

ふっとうすいがた‐げんしろ【沸騰水型原子炉】

核反応による熱エネルギーを蒸気として取り出す原子炉原子炉容器内で水を沸騰させ、その蒸気で発電機タービンを回す。特に、沸騰水型軽水炉のこと。沸騰水型炉BWRboiling water reactor)。→軽水炉
[補説]加圧水型原子炉に比べて構造は単純だが、放射性物質を含んだ蒸気でタービンを回すため、タービン建屋復水器などの施設も遮蔽する必要がある。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「沸騰水型原子炉」の意味・わかりやすい解説

沸騰水型原子炉
ふっとうすいがたげんしろ

軽水炉の一種。アメリカで開発された。英文のつづりBoiling-Water Reactorの頭文字をとってBWR、あるいは単にBともいう。

 原子炉冷却系の圧力は約70気圧に保たれ、この圧力では水は沸騰し、約280℃の蒸気になる。この蒸気がタービンに直接に送られるので、BWR系のことを直接サイクル系という。炉心から熱が取り出される速さは炉心を循環する水の量で決まる。大型のBWRでは、炉心内の沸騰で生じる自然対流に比べて循環速度を非常に大きくするため、炉心シュラウドの外側にジェットポンプを置いている。

 燃料棒は、ジルカロイ被覆管に燃料ペレット(二酸化ウランなどを粒状に焼結したもの)を封入したもので、被覆管の直径は約1センチメートル、長さ約4メートル、厚さ約0.9ミリメートルである(参照)。110万キロワット級の原子炉では、このような燃料棒が、約2センチメートルのピッチ(間隔)で60~80本ほど束ねられ、一つの燃料集合体をつくっている。炉心はこのような集合体が700体ほどで構成される。原子炉の運転中には、燃料棒の中心部の温度は約2000℃、被覆管の表面温度は約300℃、わずか5ミリメートルの間で約1700℃以上もの温度差が生じている。

 1年間に炉心から取り出される燃料集合体の数は、加圧水型原子炉(PWR)の場合には炉心の3分の1、それに対しBWRの場合には炉心の4分の1である。原子力発電の負荷追従運転(電力需要にあわせて電気出力を上下させる運転方式)は、加圧水型の場合には制御棒操作により行う。BWRの場合にはジェットポンプの流量を変えることにより、その出力を50%程度変えることができる。

[桜井 淳]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「沸騰水型原子炉」の意味・わかりやすい解説

沸騰水型原子炉
ふっとうすいがたげんしろ
boiling water reactor; BWR

炉心を冷やす一次冷却水を炉心内で沸騰させて,その蒸気で直接タービンを回す型の動力用原子炉。熱交換器は使わない。燃料は濃縮ウラン。軽水 (水) を冷却材と減速材を兼ねて使う。アメリカで開発され,運転が安定しているため発電用の大型原子炉として加圧水型原子炉に次いで数多く運転されている。日本では日本原子力発電敦賀発電所をはじめとして,発電用動力炉の約半数をこの型の炉が占めている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「沸騰水型原子炉」の意味・わかりやすい解説

沸騰水型原子炉 (ふっとうすいがたげんしろ)

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の沸騰水型原子炉の言及

【軽水炉】より

…冷却材を兼ねた減速材に加圧した軽水を用い,低濃縮ウランもしくは若干のプルトニウムを混合したウランの酸化物を燃料として用いる原子炉をいう。冷却材に沸騰を許し,生成する水蒸気を直接利用する(直接サイクル)沸騰水型原子炉boiling water reactor(略称BWR)と,冷却材に沸騰を許さず炉心で高温になった水を蒸気発生器に導き,そこで別の水に熱を伝えて蒸気を発生させる(間接サイクル)加圧水型原子炉pressurized water reactor(略称PWR)とがある。人類が使いなれた水を主材料に使っていること,アメリカという大きな市場をもつ国で,ゼネラル・エレクトリック社とウェスティングハウス社という巨大電機メーカーが,加圧水型原子炉と沸騰水型原子炉という二つのやや異なる型式で競争しつつ実用化を目指したことにより急速に普及し,これが各国へも波及した。…

【原子力】より

…原子は原子核とそのまわりをまわる電子とから構成されている。たとえば,原子と原子が結合して分子をつくる通常の化学反応では,電子が反応の主役となり原子核は反応に関与しない。しかし,ある特殊な状態の下では,原子核が反応を起こすことがある。それを原子核反応あるいは単に核反応という。核反応に伴って発生するエネルギーを原子核エネルギー(核エネルギー)nuclear energyあるいは原子エネルギーatomic energyという。…

【原子力発電】より

…原子炉の熱を利用して水を蒸発させ,その蒸気で蒸気タービン‐発電機を回すことによって発電を行うこと。火力発電におけるボイラーを原子力蒸気供給系nuclear steam supply system(略称NSSS)で置き換えたものと考えればよい。原子炉で熱が発生する原理はボイラーの場合と異なり,核分裂に基づくものであって,このとき熱と同時に放射線の放出があり,しかも放射性の核分裂生成物が発生する。核分裂生成物は核壊変し,これに伴う崩壊熱が長期間にわたって発生するので,原子炉停止後も崩壊熱を適切に除去してやる必要がある。…

【原子炉】より

…日本の場合,北海道電力,関西電力,四国電力,九州電力の有する原子力発電所の原子炉はこの型である。沸騰水型原子炉冷却材を兼ねた減速材に沸騰水を用いた原子炉。英語のboiling water reactorを略してBWRということもある。…

※「沸騰水型原子炉」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

潮力発電

潮の干満の差の大きい所で、満潮時に蓄えた海水を干潮時に放流し、水力発電と同じ原理でタービンを回す発電方式。潮汐ちょうせき発電。...

潮力発電の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android