一絃琴(読み)いちげんきん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「一絃琴」の意味・わかりやすい解説

一絃琴
いちげんきん

木製の細長い胴の上に絹糸の一弦を張り、義甲(かつては指)で撥弦(はつげん)する楽器。板琴(はんきん)、須磨琴(すまごと)、一つ緒(ひとつお)、独絃琴(どくげんきん)などともいう。『日本書紀』に、天竺(てんじく)人が三河国(愛知県)にきて一絃琴を弾じたとあるが、おそらく後世のものとは異なると思われる。また松山四山の『当流板琴大意抄』(1841)に、「昔(9世紀ごろ)在原行平朝臣(ありわらのゆきひらあそん)が、須磨(すま)での左遷生活のおり、つれづれの慰めに庇(ひさし)の板で一絃琴をつくった」という話があり、俗にこれを須磨琴とよび一絃琴の祖となったとある。しかし、今日の一絃琴は、江戸時代寛文(かんぶん)年間(1661~73)初めころ中国より伝来したものを改作したらしい。その後、宝暦(ほうれき)・明和(めいわ)年間(1751~72)河内(かわち)国(大阪府)金剛輪寺の覚峰(かくほう)律師が世に広め、さらに幕末期、大坂の真鍋(まなべ)豊平が新作を多くつくり、その奏法も大きな発展を遂げ、いよいよ盛んになった。坂本龍馬(りょうま)など幕末の志士たちも弾いたという。明治末年から衰微し、今日では、東京京都、兵庫、高知でわずかに行われている。

[平山けい子]

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