天竺(読み)てんじく

精選版 日本国語大辞典「天竺」の解説

てんじく テンヂク【天竺】

[1] 中国および日本で、インド古称天竺国
※書紀(720)推古三一年四月(岩崎本室町時代訓)「夫れ仏の法(みのり)、西国(テンチク)より漢(もろこし)に至(つたは)りて」
[2] 〘名〙
① そら。天。
※狭衣物語(1069‐77頃か)一「此頃の御有様は、さりとも見たてまつりなば、てんぢくへも憧れじ」
② 高い所。上の方。頂上。
[3] 〘語素〙
① ヨーロッパ人の日本渡来後、語にそえて、外国、遠方の地、舶来などのを表わす。「天竺牡丹」「天竺鼠」
② (唐(から)(=辛)過ぎるというしゃれから) 食べ物が辛すぎるの意を添える。「天竺味噌」「天竺醤(ひしお)

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日本大百科全書(ニッポニカ)「天竺」の解説

天竺
てんじく

中国古代のインド地方の呼び名。同系統の古としては天篤(てんとく)、天督(てんとく)、天豆(てんとう)、天定(てんてい)などがあり、語源は、身毒(しんどく)、印度(いんど)などと同じく、サンスクリットのシンドゥーSindhuインダス川地方)であるとされる。文献では『後漢書(ごかんじょ)』「西域伝」に「天竺国、一名身毒。月氏(げっし)の東南数千里にあり」とあるのが最初であり、晋(ぎしん)南北朝期に一般化し、日本にも広まった。

尾形 勇]

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デジタル大辞泉「天竺」の解説

てんじく〔テンヂク〕【天竺】

中国および日本で用いたインドの古称。「後漢書」西域伝に初見。

天竺木綿」の略。
そら。天。
「此の頃の御有様は、さりとも見たてまつりなば、―へも憧れじ」〈狭衣・一〉
接頭語的に用いて、遠方・外国・舶来の意を表す。「天竺鼠(ねずみ)」「天竺牡丹(ぼたん)」
(「唐(から)(=中国)過ぎる」のしゃれから、食品名に付けて)辛すぎる、の意を表す。「天竺みそ」「天竺ひしお」

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旺文社世界史事典 三訂版「天竺」の解説

天竺
てんじく

中国・日本におけるインドの古称
インドの名は,川(すなわちインダス川)や洪水を意味するサンスクリット語のSindhuからおこり,これがなまって中国では身毒 (しんどく) ・信度・天竺 (てんじく) などとなった。唐代以後は印度の名称が用いられるようになった。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「天竺」の解説

天竺
てんじく

天竺木綿略語。木綿の原産地インドの意で,インドから渡来したことによりこの名がある。英語ではティー・クロスという。経・緯糸に 20番手の生綿糸を使用した,経・緯糸密度のほぼ同じ荒い平織物。生,さらし,色地天竺などがある。敷布,芯地などに用いられる。

天竺
てんじく
Tian-zhu; T`ien-chu

インドをさす中国での古称。インダス川をさす Sinduに由来する。魏・晋時代から唐初の玄奘のときまでよく使われ,その後は印度という呼称に取って代られた。日本では,インドは古来から明治にいたるまでこの呼称で呼ばれ,ブッダの生れた国として親しまれた。

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世界大百科事典 第2版「天竺」の解説

てんじく【天竺 Tiān zhú】

中国で3世紀以降に多く用いられたインドの呼称。古くは〈身毒(しんどく)〉〈賢豆けんず)〉〈天篤(てんとく)〉とも呼ばれていた。7世紀の中国僧玄奘はこの〈天竺〉の称が異議糺紛(きゆうふん)であるとして,正音にしたがって〈印度〉というべきことを述べており,唐代以後は主として〈印度〉の名称が用いられた。中国で古くインドを表した音写語群のもとの言語としては,川の名に由来するシンドゥSindhu(なまってヒンドゥ,ギリシア語ではインドス)があげられる。

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